「もうかる話」に乗るときは税金も考慮しなければいけない

課税対象になるのは上記3つのパターンだということを紹介したが、一番注意すべきは「3.仮想通貨同士の交換を行った場合」だ。

“億り人”の中には、最初、友達に勧められ軽い気持ちで始めたという人は少なくないようだ。仮想通貨の仕組みについてあまりよくわかっていないけれど気づいたらもうかっていた、というパターン。実は仮想通貨の世界では、仮想通貨同士の交換は珍しいことではない。

そこそこもうけが出たら、もっともうかるおいしい話に手を出したくなるのが人情だろう。その道の専門家と名乗る人に言われ、さらにもうかる取引へとエスカレートしていく。仮想通貨は、ギャンブル性が高いといわれるゆえんだ。

もうかる話を持ってくる人はおおむね税金の話はしないようだ。筆者は国税に在職中、FXの無申告者を税務署に呼び出し、期限後申告書を提出してもらうという仕事をしたことがあった。来署依頼のハガキを携えたお年寄りは、

“担当の人は税金がかかるなんて一言も言わなかったのに”

と、悔し涙を流していたことを覚えている。

うまい話には落とし穴がある。専門家に任せて仮想通貨の交換を頻繁に行い、メチャクチャもうかったと思っていても、それは全額が手元に残るのではなく、含み益として課税されるのだ。

7月、税務調査がやってくるかもしれない

平成29(2017)年中に、仮想通貨でもうかったので平成30年3月に、平成29年(2017)年分の、所得税の確定申告を提出したという方。

“確定申告をして2年たったけど、税務署から何も連絡がないってことは提出した内容が認められたってことなんだろうな“

そんなふうに思っていないだろうか。

紙の確定申告書を税務署に持参し控えに受付印を押してもらったり、e-Taxでデータを送信し”受け付けました”というメールが届いたからといって安心していてはいけない。それは単に、確定申告書を受け付けたという証明にすぎない。

確定申告書の提出の有無やその内容について確認したいことがある場合、調査官はまず、自宅に電話をかける。何度電話をしても不在の場合は、次の手段として自宅に郵便を出す。税務署からの手紙なんて関係ないと思って、封を開けずに捨ててしまってはいけない。

なぜなら、それは、仮想通貨取引について聞きたいことがあるので、税務署に来てほしいという通知かもしれないからだ。そのままほうっておくと、突然、調査官が自宅にやってくることになる。

税務署は、限られた人員で税務調査を行っている。提出された確定申告書の縦の計算のチェックは毎年なされるが、内容についてはそうではない。3年くらいそのままにしておいて、それでも間違っているとなった際に調査に出向く。その方が効率よく税務調査を行うことができるからだ。

2020年の4月から6月にかけては、新型コロナウイルスの影響で、税務調査もなされていなかったようだ。国税の事務年度は7月から。心機一転、税務調査も解禁となるはずだ。2017年当時、仮想通貨でもうけたという人は、2020年7月からの税務調査の対象となるタマとして、リストアップされているに違いないだろう。

仮想通貨の取引についても、税務署は3年泳がせているのだから。

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