北朝鮮に平身低頭。人権団体から批判

金与正のあまりの剣幕に驚いたのか、文在寅は即座に対応。6月11日、北朝鮮批判ビラを北朝鮮に向けて風船で飛ばす活動を行っていた脱北者団体の代表を告発すると発表した。かつて韓国の軍事政権に立ち向かう人権派弁護士だったはずの文在寅とも思えぬ対応に、さすがに与党内からも批判の声が上がっているという。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは「韓国政府は北朝鮮の脅しに『平身低頭』している。人権派弁護士出身の文在寅大統領とその政権が北朝鮮人のために全く立ち上がろうとしないのは恥ずべきことだ」と非難。

また、韓国の野党からも「いまのように北朝鮮が下命するものはすべて聞くつもりなのか。北朝鮮が大統領に退けと下命すればそれも聞き入れるのだろうか」との批判が出ている。南北対話を前進させたい文在寅は北朝鮮から足元を見られているのだろう。即座に北朝鮮の言い分に応じたのに、南北連絡事務所を爆破される憂き目にあった。

コロナ対策であげた手柄を失いそうな文在寅

選挙で「歴史的圧勝」を果たしたばかりの文在寅大統領に吹く逆風はこれだけではない。

4月15日の総選挙では「K防疫」とも言われるコロナ対策が評価されたが、6月に入り再び感染が拡大し、無期限の外出自粛要請が発表された。4月には就業者が前年同月と比較して47万人以上も減少したという韓国。経済や国民の生活を犠牲にしてでもコロナを封じ込めたからこそ支持を得たのだろうが、一度はやり過ごしたと思われる自粛の波が再び押し寄せるとなれば経済に与える悪影響は甚大なものとなるだろう。

「封鎖政策から緩和への切り替えが早すぎた」との指摘も見られる韓国の現状は、緊急事態宣言現解除後、じわじわと感染者数が増えている日本も決して他人ごとではない。