恥じらいを「常に」持つ必要はまったくない

【三宅】日本人は何年も学校で英語を勉強しているのに話せないと言われますが、なぜだと思われますか?

レントのハリー杉山氏
撮影=原貴彦

【ハリー】失敗を恐れて英語を使おうとしない人が多いこと。それから、恥じらいを持つ人が多いことでしょうね。

とはいえ、恥ずかしがることは素敵なことだと思うんです。なぜならそれは向上心の裏返しであり、自分に対してフラストレーションを感じている証拠だと思うので。ただ、恥じらいを「常に」持つ必要はまったくありません。日本人にとって、英語は異国の言語なのですから、アウェーであり、知らなくて当然。焦らず少しずつ習得していけばいいのに、やたらと高いハードルを設定して、不必要に自分を恥じらう人が多い気がしますよね。

英語脳を育てることを優先すべき

【三宅】小学校で英語教育が導入されましたが、日本の英語教育に対するご提言はありますでしょうか?

【ハリー】英語の授業では英語しか話さないことを徹底するのはどうですかね。

【三宅】中学と高校の英語の授業については「英語は英語で教える」という方向にはなりつつあります。

【ハリー】素晴らしいです。とにかく英語脳を育てることが最重要課題だと思います。たとえば、テニス選手はコートに足を踏み入れたらアスリート・マインドにパッと切り替わると思うんですけれども、それと同じように「はい、ここからは全部英語!」といわれたときにイングリッシュ・マインドにパッと切り替えられるか。目指したいのはそこですよね。

【三宅】ただ、授業で日本語の説明を一切なくすと、文法のような基礎知識が頭に入りにくいという弊害もありまして。

【ハリー】細かい方法論は専門家にお任せします。もちろん最初は大変ですよ。楽器の演奏を学ぶときも、自転車の乗り方を学ぶときも、初めが一番辛いのは当たり前ですよね。

そういう意味で、その辛い体験を授業形式でやる必要もないと思います。いまなら日常の中で英語を使える機会はいくらでもありますよね。カフェで隣に座っている外国人に「What are you drinking?(何を飲んでいるの?)」といきなり話しかけてもいいわけですし、自分が情熱を注いでいるものを外国人に説明する、という方法でもいい。