コロナ・ショックは、価値観を崩壊させた

ある年収を基準に人間を「勝ち組」「負け組」に分けたのは、01年からの小泉政権時代以来だ。それは「経済成長のために、完全に自由な競争の実現が必要である」という、「新自由主義」的価値観によるものだ。コロナ・ショックは長く日本を支配してきた、この価値観を崩壊させたと言い換えることもできる。その顕著な例が、10万円の特別定額給付金だ。

政府の役割を縮小する新自由主義は緊縮財政とセットとなる。給付金について、「自ら積極的に手を挙げていただくことを想定しているものではございません!」とドヤ顔でコメントをした政治家の根底にあるのも緊縮財政だ。

コロナ・ショックは自由な競争を成立させる土台となる経済活動そのものを破壊した。優先すべきは、この修復で、具体的にはGDP(国内総生産)を上昇させることだ。

そこで、皆さんには義務がある。今回も今後も給付金が出る場合には当然の権利として、積極的に受け取ること。大切なことは、なるべく早く日本国内で使い切ることだ。政治家の皆さんも、使い先の確認もせず寄付を明言するべきではない。今こそ大手を振って地元で芸者でも上げ、給付金以上のお金を使うべきだ。それこそが有権者が富を生む源泉となるのだから。

コロナ感染が拡大した20年3月中旬、世界最大のスーパーマーケットチェーン米「ウォルマート」の株価や、「小麦粉」など穀物の先物取引相場が上昇に転じた。人が食物を摂取するという当たり前の理由だ。ここから考えれば、現在では就業人口が他の産業に比べて少ない農業や漁業など食物の生産等の第一次産業は成長産業となるだろう。

状況を読み取っていち早く新たな産業に次の生活基盤を求めることは、生存するための鍵である。

(撮影=久保貴弘)
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