外食事業以上に残る3事業も落ち込んでいる
新型コロナの影響で、残りの3事業も落ち込んでいる。その危うさは、外食事業以上といってもいい。
ホテル事業は休業などの影響で既存店売上高が大きく落ち込み、3月が58.2%減、4月が83.4%減となった。レストランの運営受託事業は、空港利用者の減少や施設の休館などが影響し、3月と4月の既存店売上高は激減した。特に空港ターミナルの落ち込みが大きく、3月が52.9%減、4月が77.6%減となった。機内食事業も、主な販売先である国際線航空便が4月はほとんどが運休となったため、当然大幅減だ。
こうした状況から、ロイヤルHDの20年1~3月期の連結業績は厳しいものとなった。売上高は前期比16.6%減の279億円、経常損益は28億円の赤字(前年同期は6億5000万円の黒字)だった。ここからは、上記で挙げた4事業それぞれの業績を詳細に見ていく。
まずは外食事業だ。20年1~3月期の業績は、売上高が前年同期比10%減の136億円、経常損益が2億5400万円の赤字(前年同期は5億8200万円の黒字)だった。
主力のロイホはこれまで好調に推移していた。ファミレスの中では高級路線を行くロイホだが、12年12月に始まった「アベノミクス景気」を追い風に、高付加価値商品を開発することで「多少高くてもおいしいものを食べたい」という需要を取り込むことに成功した。これにより、マイナス傾向が続いていた既存店売上高は、12年12月期以降はプラス傾向が続くようになった。19年12月期までの8期中、6期が前期を上回っているのだ。好調は続いており、20年2月までは7カ月連続で前年を上回っていた。20年1~3月期のロイホ事業の業績は新型コロナの影響で減収、経常減益となったものの、同利益は黒字を確保できている。
2018年の値上げから不振が続く「てんや」
一方、てんやは苦戦を強いられている。18年1月に実施した値上げ以降、既存店売上高は前年割れが目立つようになった。売り上げの4割弱を占めるとされる主力の「天丼並盛」を税込み500円から540円に引き上げるなどしたのだが、これが引き金となり客離れが起きた。そこで、昨年10月の消費増税時に価格改定を実施し、一部商品の価格を据え置いて実質値下げを行い、集客を試みてはいる。
だが客足は戻っていない。18年1月から20年4月までの28カ月間のうち、既存店売上高が前年を上回ったのはわずか3カ月だけだ。20年1~3月期のてんや事業の業績は、新型コロナが追い討ちをかけたこともあり減収、経常赤字に転落(前年同期は黒字)となった。なお、5月18日から天丼並盛を540円から500円に値下げしており、これにより客足を回復させたい考えだ。
このように、ロイホが踏ん張ったものの、てんやなどほかの飲食業態の赤字が響き、外食事業として減収、経常赤字となった。