テレビ局は「事実」をもっとたくさん報道するべきだ
コメンテーターに依存した番組構成では、さらに深刻な問題を引き起こす恐れがあります。
意見が一方向に偏ってしまうと、「世論を何らかの方向に誘導しようとしているのではないか」と視聴者に疑われてしまいます。そうすると根本からメディアに対する信頼を損なってしまう可能性さえあるのです。
せっかくニュース・情報番組がたくさんあるのですから、もっと「事実」を扱う数を増やしたら良いと思います。これほどたくさんのニュース・情報番組がなかった20世紀と比べても、残念ながら扱うニュースの項目数は増えていないような気がしますし、下手すれば減っているのではないかとすら思えます。
新型コロナウイルスの関係で日々取材にあたっている記者やディレクターにどんどん出演してもらい、解説してもらうのも良いと思いますし、新型コロナウイルス以外にもたくさん大切なニュースはあるはずです。
ニュースが「コロナ一色」になってしまい、他の問題をいくら取材しても放送してもらえないという不満の声を記者やディレクターから聞くこともあります。彼らが日々頑張って集めてきている「事実」をもっとたくさん放送すれば良いのに、なぜしないのだろう? と不思議に感じます。
コロナでテレビニュースのあり方が問われている
最近よく、TBS「Nスタ」のキャスターをしている井上貴博アナウンサーが、「私たちの報道のあり方も問われている。反省しなければならない」といった趣旨のことを放送で口にされています。
井上さんがおっしゃるように、いま私たちテレビのニュース・情報番組はそのあり方を問われているのだと思います。現場からこうした声が上がってくるのは素晴らしいことだと感じます。
まさに、新型コロナウイルスの問題を契機に、もう一度テレビニュースは自分たちの姿を見つめ直し、考え直さなければならないのではないでしょうか。