皆が絶賛している企業は危険
ではどうすれば、皆さんも彼のように行動ができるのか。
市場の参加者の様子を観察するという冒頭の話にも重なる。過去のバブルを見るとどこで起きたどんな資産のバブルでも人は同じことを言っている。「あなたが理解していないだけだ」と。
これを皆さんも合言葉として覚えておこう。注意するアラートだと考えよう。ロジャーズ氏のように売却で成功するかどうかはわからない。結果論かもしれない。タイミングは読みきれないと思う。しかし私が皆さんにお伝えしたいことは、注意を配ろうということだ。
もしも注意を配っていればコロナの第一報が入った時の行動が少しは変化するのではないだろうか。第一報の時に、念には念をいれて一部だけリスクの高い投資を現金に戻しておくとかができるはずだ。もしも今回そのような行動がとれていれば、投資のダメージは減らせたはずだ。ロジャーズ氏のように去年から売却をしていなくとも。
いまの株式市場は、やっぱり買いだ
では、皆さんは今、どう動けばいいのか?
ロジャーズ氏は災害や危機が訪れた時にはまず何が起きているかをじっくりと考え、安いものを買う。安ければ失敗しても大きな失敗にはならないからだと彼は言う。そして安さの中の変化を見定める。安い中で改善に向かう時は買い時なのだ。
そして彼はこんなことも言っていた。
「日本には『危機』という言葉があります。が、これは惨事と好機、両方の意味を持っています。中国にも『危机(ウェイジー)』という言葉がありますが、これにも同様に、惨事と好機の意味があります。だから私はいつも惨事に注目しています」
この記事で私がお伝えしたかったことをまとめよう。まず勉強をすること。コロナ相場で安いからといって、気楽に安そうなものを買ってはいけないということ。それを市場が高値まであげてくれるのかを考えること(成長性があるか見極めよう)。そしてみんなが絶賛しているものは買わないこと。そして安くなったものをよく研究して小さな変化に気づき、危機を好機に変えること。
これらはコロナ問題が解決したあとも10年後でも20年後でも通じる投資術だ。どうか投資をする人はコロナで浮き足立ち、足をすくわれないようにしていただきたい。そしてこの危機を好機として数年後に大きく資産を増やしていただきたい。これが私の心からの願いだ。私はお金を失うことはとてもつらいということをよく知っているからだ。
さて次回は、ペンシルベニア大学教授で株式投資リターン研究の世界的権威、ジェレミー・シーゲル教授が語ってくれたことを、私の解説付きで紹介する。