後戻りできないほど深い亀裂を生んでいる
トランプ大統領をこれまで特に支持していなかったホワイトカラー層でさえ、論理的ではなく感情的に「中国に対していい印象はない」という人が増えていると聞く。アメリカの失業率は14.7%と、1930年代の大恐慌以来の高い数値になっており、死活問題になってきているだけあって「こうなったのは、一体誰のせいだ」という中国への憎しみが膨れ上がっているということなのだろう。
今後、新型コロナ問題は第2波への懸念とともに、感染源の特定、そしてアメリカVS中国という対立軸がより鮮明になっていくだろう。中国への批判を行うのはアメリカに限らず、ドイツやオーストラリアなど増えているが、中国にとって、アメリカは唯一無二のライバルであり、一目置く存在だ。それは中国人にとっても同様である。
四面楚歌の中国人が抱えるストレスはたまる一方だが、それはアメリカ人、そして世界各国の人々にとっても同様であり、国家を背負った各国の国民にとって、当分の間、心が晴れ晴れとする日は来そうもない。
新型コロナウイルスを撲滅するためには、国境を超えてワクチンや特効薬の開発、そして情報の共有をしていくことが不可欠だと思うが、国家間の対立は国民間、民族間の対立へと広がり、もはや後戻りできないほど深い亀裂を生んでしまっているといえそうだ。