欧米や日本のSNSなどを見ていると、「コロナを世界中に拡散させ、これだけ世界中の人々を不幸のどん底に突き落としておきながら、自分たち(中国人)が被害者づらするなんて図々しい」という意見が多いが、中国人に話を聞いてみると「自分たちだってこんなことが起こるとは夢にも思わなかった。自分たちもコロナの被害者なのに、中国人は、中国人であるというだけで、世界中の誰からも同情してもらえない」という意識が強く、双方の感覚にはかなりのズレがあるように感じる。

一方、アメリカ人の対中感情はどうなのだろうか?

世論調査では「好意的でない」が過去最高の66%に

アメリカに住む人々に聞くと、アメリカ人にとっても中国人(アメリカに住む中国系も含めて)の印象は日に日に悪化しており、その感情は中国人の対米感情と同様、激しいものになっているという。アメリカでも「コロナ禍の責任を追及せよ」「武漢が発生源であることは明白であり、中国は賠償するべきだ」という意見がSNS上に大量に載っており、中国、そしてそこに暮らす中国人への悪感情もヒートアップしているのだ。

日本人の友人が住むロサンゼルス近郊のスーパーでは、自分(日本人)も含め、東アジア系の顔立ちをした人を避けて通る人が多く、列に並んでいても、英語で中国の悪口をいっているのが聞こえてくることもあると聞いた。

4月下旬、アメリカの世論調査機関が公表した調査結果によると、中国に対し「好意的でない」と答えたアメリカ国民の割合は前年調査比で6ポイント増加し、2005年の調査開始後で最高の66%に上ったことが分かった。トランプ政権が発足した2017年から3年間で「好意的でない」が20ポイント近くも増加している。

アメリカ人の対中感情の悪化はコロナで突然始まったことではなく、ここ数年の中国経済の台頭と比例している。特に米中貿易戦争や中国の軍事力拡大、ファーウェイ問題がクローズアップされて以降、高まっているように感じるが、コロナ禍によってそれがより鮮明になっているといえる。アメリカ人にとっては「世界ナンバーワン」の座を中国に脅かされるという不安があり、それも個人の感情に影響を及ぼしているだろう。