世界中が新型コロナウイルスの対応に追われる中、日本をはじめ各国の男性リーダーの姿勢に批判が集まっている。彼らに足りないものは一体何か。法政大学ビジネススクールの高田朝子教授は「リーダーが備えるべきものを身に付けていない。それは、賞賛されている女性リーダーたちの行動を分析すると見えてくる」と指摘する――。
右往左往し、迷走する男性リーダーたち
「もっと早く判断しておけば良かった。責任は私にある」と安倍晋三首相は後手後手のコロナ災禍への意思決定を振り返った。依然として首都を含む大都市の多くは緊急事態宣言が継続され、空港や新幹線駅の人影は驚くほどまばらで都市機能が停止していることを実感する。
政府の迷走の中で失われた時間や人や仕事やモノは決して戻ってこない。わが国のコロナ対応には歯がゆさ以外ない。
ブラジル大統領のように「ちょっとした風邪」と言い切ってコロナ対応より円滑な経済の振興を最優先させるとか、「消毒剤を注射させることで対応できないか」とわりと真剣に言ったアメリカ大統領とか、ファンタジーレベルの発言を繰り返しているわけではないけれども、右往左往しているうちに真綿で首を絞められるように実体経済は悪化している。
最前線で火の粉を被っている市井の私たちは、ほぼ何も政府に期待しなくなってしまっている。心理的な自己防衛機能が働いているのである。期待をすると裏切られたときの絶望が深く、立ち直るのに時間を要する。よって期待しない。この状態を心理学では学習性無力感と呼ぶが、文字通りこれを学習してしまった。
彼らには一体何が足りていないのだろうか。それは、いま世界中で賞賛されている女性リーダーたちの行動を分析すれば見えてくる。