最も重要なのは「感性を大切にする思考法」
センスなどなくとも、強烈なアウトプットが生み出せる。そのための基本マインドから15のフレームワークまで、論理思考では決して成し得ない他者に差をつける思考法を身に付けていただきます。
もっと言ってしまえば、センスだけで勝負している人は時代が変わってしまった途端、急に通用しなくなってしまうことがあります。
『感性思考』で紹介する思考法は、方法論であるがゆえに時代の変化にも対応できる、一生もののスキルです。では、その強烈なアプトプットを生む思考法は従来の論理思考とどのように違うのか。それが本書タイトルにもなっている感性を大切にする思考法です。
なぜ、デザインスクールで学ぶ「感性思考」を身に付ければ突き抜けたアウトプットが生み出せるのか、イメージできないかと思います。
感性思考で生まれ変わった子供用歯ブラシ
一例として、実際に私がデザインコンサルティングファーム出身の講師から学んだ、アメリカにおける子供向け歯ブラシの事例を紹介します。
長らく、子供向けの歯ブラシは、小さくて細いのが一般的でした。これは、大人より子供の手は小さい。だから小さくて細いものがいいというロジックから生まれた発想です。
また、各メーカーはおそらく数字的なデータも集めていたのではないかと思います。しかし、「データ」はあくまで過去の出来事の集積です。過去のものを積み上げて出てくるアウトプットは当然、過去のものとは変わらず、「平凡」の烙印を押されてしまいます。
これに対し、あるデザインコンサルティングファームが別のアプローチを取りました。論理やデータを基に考えるのではなく、子供が歯磨きをしている様子を実際に観察したのです。
この観察により、論理やデータからでは決して気づくことはできない発見がありました。子供はそもそも大人に比べて手が器用ではありません。
ですので、子供向けに小さく作られた歯ブラシをうまく扱うことができず、歯を磨こうとするたびに自分の顔をパンチしてしまっていました。
それまでは何十年にもわたって、子供向け歯ブラシ=手のサイズに合わせて小さなサイズ、というロジカルな公式をもとに業界全体が製品展開をしていましたが、逆に、それは子供の歯磨きの実情には合っていなかったのです。