早慶ともに非看板学部の偏差値が上昇中

次に、学部別の偏差値の推移を見ると、早慶とも変動があるようだ。早稲田で特筆されるのは社会科学部(社学)と国際教養学部。とりわけ、80~90年代には、早稲田文系で「最も入りやすい学部」だった社学が、偏差値では文学部とほとんど肩を並べており、その人気上昇ぶりには驚かされる。

早慶ともに非看板学部の偏差値が上昇中

早稲田では新参の国際教養学部も、早慶では初めて“国際”を学部名に冠した学際学部。「早稲田が総力を注いだ国際研究の拠点として、人気を集めています。帰国子女が多く、英語で講義を行うなど実用的。そのため、国際色を売りにしてきた上智大学やICUなどから、受験生を奪ったのでしょう」(同)。

大学の入試事情に詳しい大学通信常務取締役の安田賢治さんは、「アジアに力を入れたのもポイント」と指摘する。慶應は、米国・ニューヨークに付属校を開設するなど、米国進出で先行。出遅れた早稲田は、アジアから留学生を積極的に受け入れてきた伝統などもあり、アジアにターゲットを絞った。「それが当たったんです。アジアは、いま伸び盛りですからね。冗談だと思いますが、慶應は創設者の福澤諭吉が“脱亜”を掲げたため、アジアへの留学に出遅れているという説もあります」(安田さん)。

「国際教養のような人気学部が牽引して、偏差値では早稲田もジリジリと慶應を追い上げています。令和には早稲田が再び慶應を抜くかもしれません」と、安田さんは予想する。