これから「経営破綻」が飛躍的に増える可能性が高い
新型コロナウイルスの感染拡大により、中小企業の資金繰りが急速に行き詰まってきている。
全国各地の商工会議所や信用保証協会の中小企業向け相談窓口には相談件数が殺到。東京商工リサーチの集計では、コロナ関連の経営破綻は4月22日までに全国で81件、31都道府県に広がった。インバウンドの事実上の消滅で影響を受けた宿泊業と飲食業をはじめ地域、規模、業種を問わず幅広い業界に影響が広がってきている。
感染拡大の収束が見えない中、外出自粛や休業要請による売上高の激減で、サービス業を中心に、中小零細企業のみならず、規模の大きい企業も日々の資金繰りに行き詰まり、経営破綻件数が飛躍的に増える可能性が高い。
「朝から当座の資金繰りに困った人たちがやってくる」
金融庁の調べでは、2月1日~3月19日までの間で、事業者から全国の金融機関にあった資金繰り相談件数は約21万2000件だった。金融庁が実施中のヒアリングの暫定結果で、大手銀行、地方銀行、信金・信組が、事業者の融資条件の変更や猶予に応じた件数を集計した、3月10日から19日までの10日間に限れば5800件、うち4割が地域金融機関だった。
政府の緊急事態宣言が全国に拡大されたことを受け、ますます景況感は悪化し、相談件数と資金需要は急増することは必至だ。ある政府系金融機関の地方支店幹部は言う。「本来なら商店など零細企業は当行の顧客ではない。でも朝から当座の資金繰りに困った人たちがやってくるようになった」。
資金繰りに不安があるのは大企業も同じ。3月末から4月にかけてメガバンクに、資金が必要な際に得られる融資枠(コミットメントライン)を設定する動きが相次いでいる。トヨタ自動車が三井住友銀行と三菱UFJ銀行に計1兆円、リクルートホールディングスはこの2行とみずほ銀行の3メガバンクに計4500億円の融資枠を設定した。