この圧勝で、さらに反日感情を煽る危険性がある
韓国の総選挙が4月15日に投開票され、文在寅(ムン・ジェイン)政権が歴史的な勝利を収めた。この圧勝で文大統領が調子に乗ってさらに反日感情を煽り、韓国社会を思うように動かそうとする危険性がある。
それゆえ、ここで文政権と文氏に強く忠告しておく。日韓関係の悪化で喜ぶのは、核・ミサイル開発を止めずに国際社会に反発する北朝鮮だけである。北朝鮮は総選挙中も弾道弾ミサイルを飛ばし続け、日本・アメリカ・韓国に圧力をかけながら日米韓の分裂を狙っている。
文氏がいくら融和を呼び掛けても、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は無視しているではないか。文氏はその現実を受け入れるべきだ。目を覚まして対北朝鮮政策を方向転換し、融和政策を捨て去るべきである。
低迷する景気をどう回復させるつもりなのか
韓国の大統領の任期は5年で切れ、その後は大統領選に出馬できない。この決まりのため、歴代の大統領は任期後半にその求心力を低下させるのが常だった。文氏は大統領就任から来月5月で3年となる。任期は残り2年だ。文氏の場合もこの残り2年の任期の終盤は、求心力が衰えるだろうとみられていた。だが、今回の総選挙の大勝利によって予想外の安定した政権基盤を手にしたことになる。
韓国の国会は一院制で、定数は300議席だ。総選挙では文政権を支える左派系与党の「共に民主党」(改選前議席128)が単独での過半数を確保し、比例選の姉妹政党と合わせて180議席を獲得した。
この180議席は、在籍議員の5分の3を占める。これで野党の反対する議案も、与党単独で国会に提案して採決に持ち込んで成立させることが十分に可能となった。しかも国会の議長ポストや常任委員会委員長ポストも思いのままに獲得でき、まさに向かうところ敵なしの状態である。しかし政権運営は甘くはなく、低迷する景気をどう回復させて求心力を維持するかなど、課題は多い。