今必要なのは、月末を越すための資金繰りなのに…
15日に明らかになった米国の3月の小売売上高は、前月比マイナス8.7%。内訳はすさまじく、自動車は25.8%の減少、家具は26.8%の減少である。すでに失業保険の新規申請件数は4月4日までの3週間で1676万件に達しているが、さらに雇用に深刻な影響を与えそうだ。
国際通貨基金は、2020年は1929年の世界恐慌以来の最悪の不況になるとの見通しを明らかにした。3月の日本の統計はこれから発表になるが米国同様、未曾有の悪化になるだろう。緊急事態宣言が出された4月の数字がさらに悪化するのは間違いない。
官僚にはリストラどころか降格もほとんどなく、失業する心配はない。給与は民間の大企業並みが保証されている。そんな官僚に、民間の中小零細事業者が味わっている資金繰りや経営の苦しさを分かれと言っても無理なのかもしれない。
零細事業者の怨嗟の声を聞いてか、自民党の二階俊博幹事長が党内で一度は潰れた「ひとり10万円の現金給付」に再び言及した。これを受けて、安倍晋三首相は4月16日、国民1人当たり10万円を一律現金給付するため、2020年度の補正予算案を組み替える方向で検討するよう麻生太郎財務相に指示した。
だが、それでも高額所得者は対象外にすべきだといった声がくすぶる。今必要なのは所得再分配ではなく、月末を越すための資金繰りだということを理解していないのだろう。対策が後手に回らないことを祈るばかりだ。