勝負というタイミングがやってくる

逆に、配牌が悪くてもツモが利かなくても、忍耐強く我慢し、半荘やっていれば、一回くらいはここが勝負というタイミングがやってくるものです。そこできっちりと上がってモノにすればいいのです。

時には一回もチャンスが来ないまま終わってしまった、なんてこともあるのが麻雀です。が、それでも腐らず自分のペースでやり続けることが、結局は失点を防ぐことに繋がります。だから長い目で見れば、自分のタイミングで無理な勝負をしないことが大切なのです。

麻雀を見て楽しむという意味でもう1つ、Mリーグではパブリックビューイングが大変盛り上がっています。実際に現場に足を運んだことがない人は信じられないかもしれませんが、1000人近く入る会場で、8500円もするチケットが、あっという間に完売します。手元のスマホで誰でも無料で見られるにもかかわらず、です。

選手は別会場で試合をしています。麻雀なので、観客が騒いでしまうと相手に手牌がバレてしまうからです。それでもみんなで麻雀を観戦するというのは大変面白いのです。

何しろ見ている側は、全員の手牌が見えています。会場では、贔屓の選手が当たり牌を掴むと悲鳴があがり、応援しているチームが高い手を上がると、サポーター同士で周りの人とハイタッチで盛り上がっています。一番静かなのは実際打っている選手たち張本人かもしれません。麻雀はポーカーフェースで澄ました顔で打つので、会場の盛り上がりとのギャップがまた面白いです。

2000年代半ば、ヒルズ族という言葉が流行っていた時代、「ネットとリアルの融合」という言葉が盛んに使われていました。それから10年以上の間に、ネットはどんどん仮想空間で完結するようなものではなくなってきました。ネットでMリーグを知り、ファンになった人は、ツイッターなどのSNSを通じて、同じ趣味を持つ人と容易に繋がることができます。オンラインで多くのコミュニケーションをとっていると、今度は実際に会ってみたいという欲求が出てくるのだと思います。

可能性広がる麻雀ファンビジネス

オンラインのネットの普及で、オフラインのリアルイベントはむしろ成長産業になっています。それでもまさか麻雀を見るイベントが大きな会場を埋めるほどの人気になると予想できた人はほとんどいないでしょう。

今、現在進行中である「ネットとリアルの融合」の幅の広さを、麻雀が例示できたのではないかと思います。

▼可能性広がる麻雀ファンビジネス
2020年2月にEXシアター(六本木)で行われた観戦イベントは、8500円のチケットが即完売。各チームのパーカー(8000円前後)も売れ行き好調だ。Mリーグのファンクラブは年会費6500円。他のプロスポーツ、たとえばプロ野球・東京ヤクルトの2500円(ライト会員)と比べるとやや高めの水準。麻雀好きは男性が多いイメージだが「ファンは女性や高校生も多い」と女性Mリーガーの岡田紗佳選手(KADOKAWA)は語る。
(構成=プレジデント編集部 撮影=泉 三郎 写真提供=M.LEAGUE)
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