リーマン以来のマイナス成長となるドイツの路線転換
安倍政権が総額108兆円規模という過去最大の緊急経済対策の実施を発表したように、コロナショックを受けて各国政府は経済対策を矢継ぎ早に整えている。ヒトとモノが動かず世界の景気は腰折れ状態となっており、雇用も急速に悪化している。そのため、各国とも企業の資金繰り支援と雇用・所得対策を経済対策の柱に据えている。
欧州ではイタリアやスペインで新規の感染者数が減少するなど、コロナウイルスの感染拡大がピークアウトしつつあるといった認識が出ている。とはいえ、このまま感染が順調に収束するかは不透明であり、経済への悪影響がすぐに改善するわけでもない。経済が正常化するまで、各国の政府は政策をフル稼働させる必要がある。
実際、欧州経済の中心であるドイツでは、政府の経済諮問委員会(5賢人委員会)が3月末に、今年のドイツのGDPがリーマンショック直後の09年(5.6%減)以来となるマイナス成長(2.8~5.4%減)を余儀なくされるとのレポートを発表した。
こうした厳しい状況を受けてドイツ政府はこれまでの財政均衡路線を転換、7年ぶりとなる新発債の発行を解禁するとともに、総額7500億ユーロ(約90兆円)規模の緊急経済対策を実施すると発表した。企業の資金繰り支援と雇用・所得対策を中心としたものだが、以下では特に注目される雇用維持のための取り組みについて見てみたい。