仮に感染しても死ななければいい。絶望するな
新型コロナウイルス感染は、初期は風邪症状と変わらないらしい。その段階でPCRの検査要望が殺到すると医療機関の負担が著しく増大する。さらに初期ではウイルスが微量なこともあって検査によって発覚しないとも言われている。また病院に希望者が殺到すると院内感染するリスクも生じる。
だから初期は、よほどしんどい場合でない限りは、自宅で様子を見ることが必要だと思う。そもそも陽性となっても、特段の薬や治療方法があるわけではない。基本的には安静にして自分の免疫力を信じるしかない。
今のガイドラインでは、4日経過しても症状が改善しない場合には、新型コロナウイルス感染を疑うべきとなっている。
ただし、これからは、無症状・軽症者は自宅やホテルで療養することになったので、それらの者で専門医療機関の病床を占めるようなこともなくなるだろうから、PCR検査は実施する現場の対応能力に合わせて広げていく必要もあろう。
さらに死亡者数に着目する国家マネジメントが重要であることは間違いないが、新型コロナウイルスは、通常の季節性インフルエンザであれば亡くなることはなかっただろう方々の命までを奪うことを、表面的な数字だけでなくしっかりと認識すべきである。
(略)
爆発的な感染拡大を防ぐことに成功すれば、今度は死亡者数が増えないように注意しながら社会経済活動を徐々に再開していかなければならない。そしてまた死亡者数が増えてくるようであれば、社会経済活動を抑制する。
新薬・ワクチンが開発されるか、集団免疫が獲得されるかまでの長期間、この繰り返しをしていかなければならない。
一度、緊急事態宣言をやって、強烈な自粛をやったからといって、それで新型コロナウイルスとの闘いが終わりになるわけではない。これから長い長い闘いとなる。
歴史を振り返れば、新薬・ワクチンの開発がなかった時代においては、集団免疫を獲得して感染が収束するまでに、夥しい命が奪われた。数千万人の命が、である。
しかし、今は、知恵と技術がある。
とにかく死亡者数が増えないように粘りながら、社会経済活動の抑制とその解除を繰り返していくしかない。
このように丁寧に説明しながらも、あえて僕は提言する。
「他人にうつすことがないように個々人で細心の注意をすることは当然だが、仮に感染しても死ぬことがなければいい。感染しても絶望することはない」と。
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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.194(4月7日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【新型コロナ緊急事態宣言】ギリギリの状況で日本政府・国民が取るべき道》特集です。