社会全体から信頼されるシステム構築を急げ

逆に言えば、マスクの高額転売問題はフリーマーケットやオークションサイトの社会的な影響力が増していることを確認する重要な機会になった。新型肺炎の発生によって、わが国だけでなく世界各国でマスクなどの日用品の買い占めが多発している。その状況が続けば、日常生活を安心して過ごすことができるか、不安を抱く人は増えるだろう。その状況の中で高額転売を放置すれば、企業のイメージは低下する恐れがある。

2月下旬、世界の金融市場では新型コロナウイルスが米国を中心に世界経済を冷え込ませるとの懸念が高まった。さらに3月に入ると原油価格の下落から米国の景気後退懸念も浮上した。多くの市場参加者が先行きを警戒しリスク削減に動いている。近年、世界的に企業の社会的責任への関心が高まってきただけに、高額転売を黙認し社会からの批判を浴びる企業に対する投資家の視線は一段と厳しくなっているとみられる。同時に、IT先端分野での国際競争も激化している。

ITプラットフォーマーは常識と良識にもとづき、自社にどのような役割が求められているかを冷静に見直すべきだろう。それをもとに、社会全体から信頼されるシステム構築に向けて新しい取り組みを進める必要がある。それは、各社が多様な利害関係者と良好な関係を築き、長期の存続を目指すために重要な取り組みの一つと考えられる。

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