新型コロナウイルスの影響で、マスク不足が続いている。ネット通販では1箱60枚で4万円超えという異常な価格もついた。マスクの高額販売をしているのはどんな人たちなのか。経営コンサルタントの竹内謙礼氏は「プロの転売屋というより、『普通の人』がかかわっている可能性が高い」という――。
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、マスクとアルコールジェルの品切れの知らせを張り出すドラッグストア
写真=時事通信フォト
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、マスクとアルコールジェルの品切れの知らせを張り出すドラッグストア=2020年2月7日、東京都目黒区

「1枚700円のマスク」が売られる異常事態

新型肺炎の影響でマスクが高額で取引されていることが問題になっている。

産経新聞によると、アマゾンでアイリスオーヤマの「サージカルマスク60枚入り」が最低価格でも4万2000円(1枚当たり700円)で出品されていたという(産経新聞「マスク1箱4万円超え ネット通販で高騰 新型肺炎影響」2020年1月30日)。

このような風潮に世間は黙っているはずもなく「人が困っているときに足元をみやがって!」「火事場泥棒だ!」とネットの声は非難囂々だが、それでも菅官房長官が2月12日の記者会見で「例年以上の毎週1億枚以上を供給できる見通しができた」と発表するまで、高額転売の騒動は収まらなかった。

一連の騒動で私はマスクを高額転売する人に強い興味を持った。社会常識として「それはやっちゃダメだろ」という行為を平気でやってしまう人の心理が知りたくなった。加えて、本当にマスクを売って儲かったのか聞いてみたくなった。

マスクを高額転売している人に取材を申し込もうと思ったが、取材を拒否されることは容易に察しがついた。これだけ世間に叩かれているのだから、まともに取材を受けてくれるはずがない。個人的な話を聞いても全体像が見えてこないこともあり、個別の取材でマスクの高額転売を解明していくことは諦めることにした。