与党内からも安倍氏を公然と批判する声が高まりつつある
菅氏だけでない。一斉休校要請は、政権中枢内のさまざまなところであつれきを生んだ。先に触れたように萩生田氏は文科相でありながら当日まで知らされず、しかも進言は受け入れられなかった。安倍氏の側近を自任する萩生田氏としては屈辱的なできごとだった。
与党・公明党への連絡は、発表直前。岸田文雄自民党政調会長への連絡も直前だった。岸田氏は翌28日、記者団に「唐突感はいなめない」とつぶやいた。慎重居士の岸田氏がこうした不満を表明するのは珍しい。
連立のパートナーである公明党。安倍氏から総裁の座の禅譲をうかがって接近を図っている岸田氏。政権運営で欠かせない要所から疑問、不満の声が上がる。
新型コロナウイルスの問題が本格化して以来、安倍内閣の支持率は低下の一途をたどる。それ故、与党内からも安倍氏を公然と批判する声が高まりつつある。つい数カ月前まで続いた「安倍1強」という影は、今はない。
安倍氏は3月2日、参院予算委員会で「緊急事態宣言の実施も含めて立法措置を早急に進める」と述べた。だが、安倍政権そのものが緊急事態になってきたようにしかみえない。