14年前は「首相の決断」を繰り返して短命に終わった

安倍氏は2006年、初めて首相に就任したころ、必要以上に「首相の決断」「私のリーダーシップ」という言葉を繰り返していた。

しかし、カメラに向かって自信なさそうな表情で語るため、むしろ「虚勢を張っている」という印象を与えてしまった。そして結果的に支持は低迷。1回目の首相は短命に終わった。永田町生活の長い関係者は、今回の会見を見て「14年前のことを思い出す」と語る。

会見時間は約36分間。冒頭、安倍氏の「演説」は20分近くを占め、言いたいことだけ言ったという印象はぬぐえない。質疑に応じたのは、事前に文案を提出していた5社に限られ、それも原稿を読み上げて一方的に会見を終えた。ジャーナリスト・江川紹子さんらが「まだ質問があります」と声を張り上げて挙手をしたが、会見は打ち切られた。この様子についてSNSでは批判の書き込みがあふれた。

読売新聞も社説で「戦略性を欠いていた」と批判

朝令暮改とはこのことだ。25日、政府がまとめた基本方針では「イベントの自粛は求めないが、主催者に改めて必要性の検討を要請する」と、あくまで主催者の自主性に委ねる方針だった。ところが翌26日、首相は大人数が集まる全国的なスポーツ、文化イベントは2週間中止、延期、規模縮小などを要請。そして翌27日には「休校要請」だ。

もちろん、状態が日々緊迫感を増しているのは事実だが、あまりにも場当たり的すぎる。安倍政権の応援団的な役割を果たしてきている読売新聞ですら3月社説で「新型コロナウイルスは未解明な部分が多いとはいえ、安倍内閣のこれまでの対応は戦略性を欠いていたと言わざるを得ない」と手厳しい論評をしている。

危機管理を得意とする安倍政権が、まさに究極の危機対応で迷走している。