「チーム安倍」の要、今井補佐官と菅房長官が関係悪化か

さらに深刻な問題がある。「チーム安倍」が崩壊の危機にひんしているのだ。今回の一斉休校要請は、安倍氏の懐刀である今井尚哉首相補佐官が進言したと言われる。経産官僚出身の今井氏は、他の省庁を軽視する傾向があると指摘されてきたが、今回はまさに典型だった。

「一斉休校」を発表する27日の午後、安倍氏は萩生田光一文科相、藤原誠文科事務次官を呼び、方針を通告した。萩生田氏らは休業補償の問題など、懸念は表明したが、同席した今井氏らは、十分に対応できると答え、再考するそぶりも見せなかった。

そして、一連の意思決定に菅義偉官房長官が関与した形跡はない。菅氏と今井氏は、2人とも安倍政権を安定的に維持してきた功労者であることは誰も異論はない。しかし2人は昨年のある時から関係が悪化しているとみられている。

今回、今井氏は「菅氏抜き」で一斉休校要請を進めた

昨年の4月、菅氏は「モテ期」にあった。新しい元号の「令和」を発表して「令和おじさん」のニックネームをつけられたころだ。次第に「ポスト安倍の有力候補」と言われるようになった。菅氏本人は「ポスト安倍」に意欲があるような言質は取らせない。しかし、そのころから、菅氏と今井氏が対立構図で語られることが増えた。

官僚から上り詰めた今井氏は安倍氏と運命共同体だ。安倍政権が続く限り、間違いなく権力の中枢に居続けることができる。ただし安倍氏が首相を辞めれば今井氏も権力から遠ざかる。だから今井氏にとってのベストシナリオは、安倍氏が2021年に自民党総裁の任期が終わっても4選を果たしてくれること。菅氏が対抗馬にのぼることは好ましくない。

今回、今井氏が「菅氏抜き」で一斉休校要請を進めたことで、2人の微妙な関係は、新しい局面に入ったといえる。