大塚家具の売上高300億円弱、ヤマダ電機はその50倍以上

ヤマダ電機の現状も見ておきましょう。大塚家具と比べてヤマダ電機は「巨大」と言っていいほど、規模が大きいことが分かります。

ヤマダ電機の山田昇会長
ヤマダ電機の山田昇会長(写真=時事通信フォト)

売上高は、通期の決算が出ている2019年3月期で、1兆6005憶円、営業利益が278憶円です。2020年3月期の予想では、売上高が1兆6740億円、営業利益が426億円を予定しています。

先ほど見た大塚家具の売上高は300億円弱ですから、ヤマダ電機は売上規模では50倍以上あります。ヤマダ電機の短期的な安全性を表す流動比率(=流動資産÷流動負債)も150%程度あり、基準の120%を大きく超えています。

中長期的な安全性を表す自己資本比率も49.7%と問題のない水準です。つまり、ヤマダ電機は、財務的にもとても安定しており、規模的にも大塚家具を十分に救える水準にあるということです。

ヤマダ電機は大塚家具を子会社化するメリットがあるのか

そして、昨年12月にヤマダ電機は、大塚家具の50%以上の株式を第三者割当増資で取得し、子会社化しました。つまり、経営のコントロールを得たということです。

もちろん、ヤマダ電機は大塚家具を救済する目的だけで子会社化したのではありません。大塚家具の事業とのシナジー(相乗効果)をねらっているのです。

つまり、大塚家具で販売されるような高級感のある家具と家電を顧客に提供することで、総合的に「家電、家具・インテリア、リフォーム、IoT」を含めた住空間の提案を目指しており、そのために家具販売に詳しく、また、良質の家具を提供できる大塚家具を手に入れることは、大きなシナジーがあると考えたのです。

国内での家電販売には、人口減少や高齢化などの限界があり、それを打破するために、総合的な住空間を提供する戦略に大塚家具を組み入れたと言えます。

図表3はヤマダ電機の事業部別の売上高と売上総利益ですが、家電販売事業部がダントツに大きいことが分かります。今後は、家電とともに家具も含めたトータルでの住環境提案を考えていると思われます。

ヤマダ電機の事業部別の売上高と売上総利益