スマートフォンを使った「学習用アプリ」の利用が広がっている。スマホは本当に勉強の役に立つのだろうか。慶應義塾大学総合政策学部3年の土屋優介氏は「カンボジアの小学校で学習アプリの独自調査をした結果、学習意欲の低い生徒の意欲を高め、学力テストの点数を伸ばす効果があることが分かった。学力の底上げで、学力格差の緩和が期待できる」という——。
タブレットpcのスクール形式
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深刻化する生徒たちの「二極化」問題

インターネットなどの通信情報技術(ICT)を教育に活用し、紙と鉛筆が中心だった教育をアップデートしようという動きが世界的に広がっている。これは「エドテック」(EdTech)と呼ばれている。文字通り教育(Education)と技術(Technology)を組み合わせた造語だ。

こうした動きに合わせて、今、「学習アプリ」に熱い視線が向けられている。教員不足と言われる中、生徒一人ひとりの習熟度に合わせた「オーダーメイド教育」を実現できると期待されているからだ。

学校現場では、学力や学習意欲の二極化が問題になっている。有名なアニメである「ドラえもん」の中に出てくる出来杉くんのような「勉強する意欲がある子ども」のグループと、のび太くんのような「まったく勉強する意欲のない子ども」のグループが同じクラスの中に存在するというわけだ。

教室の中には習熟度も学習意欲も異なる生徒がいる。そこで、生徒全員にタブレットやパソコンを提供し、学習アプリを用いれば、生徒一人ひとりに適した学習が可能になるのではないか。こうした見解が、学習アプリに期待が寄せられる背景にある。