スポーツは精神面も成長させる

運動が子どもの精神面にプラスに働くこともたくさんあります。

そのひとつは、運動をしていると、学校生活という集団生活における行動や、その中で自分を取り巻く環境作りを上手に行えるようになることです。個人競技・団体競技スポーツ、いずれもスポーツ活動は、指導者、同級生、先輩後輩で形成される集団の中で行います。そこで人と調和する術や社会適応力が育成され、集団の中で自分を確立する力も養われることでしょう。

また、運動を行えば少なからず集中して競技に取り組みます。当然、そのことで集中力が養われます。そして記録が出る、勝利することで自己肯定感や達成感を得られ、意欲的な心が育つ機会となるのもよい点ですね。

保護者や指導者の立ち居振る舞いが影響するとはいえ、子どもがやりたいと思って取り組むスポーツで得られる精神面の成長は、将来のさまざまな局面でポジティブに働くことばかりです。辛いことや苦しい経験も、おとながうまく導けば、柔軟な子どもの心はきちんと受け入れ、成長の糧となります。みんなで明るく子どもを支えてやることが、大切なのです。

毎日の有酸素運動で脳が活性化する

運動は勉強にも好影響を及ぼします。

習慣的な運動は、子どもの脳の高次脳機能の発達に重要なかかわりがあることが、2011年、「サイエンス」という有名な科学学術誌に発表されました。高次脳機能というのは、記憶や学習、思考、判断といった認知機能の総称で、いってみれば学業やキャリア、家庭や集団生活などで人生の成功を司る、重要な役割を果たす脳機能です。

脳科学研究によると、走って息を切らしてハーハーする鬼ごっこや追いかけっこ、サッカーやバスケットボールなどが代表格である有酸素運動で刺激される脳の活性部位と、勉強したときの脳の活性部位は同じ領域なのです。20~30分程度の毎日の有酸素運動は、記憶力や認知運動を改善するとされており、欧米の研究でも、毎日30分の有酸素運動でいわゆる問題解決能力が10パーセント上がることが明らかになっています。運動をすると脳が活性化されて、勉強がはかどって成績が上がった、そんなイメージですね。