ユネスコ「運動不足は喫煙よりも健康に悪い」

その寿命と健康寿命とのミスマッチを生じさせる代表的病因のひとつが、骨が年齢とともに脆くなる「骨粗鬆症」です。からだは元気でも、骨密度の低下により骨が弱くなることで、痛みや骨折が容易に生じてしまい、運動ができない、痛みで歩行できない、となってしまいます。

その結果、活動範囲が狭くなる、運動不足となる、脚を使わなくなることで下半身の血流が低下し、静脈の環流が低下して血液循環が悪くなります。運動量の低下、血液循環の停滞、意欲の低下といったさまざまな原因は、二次的に病気を引き起こすことにつながります。ユネスコ(UNESCO、国際連合教育科学文化機関)の提言によると、「運動不足は喫煙よりも健康に悪い」との報告があるほどです。

それでは、骨粗鬆症をどのように予防しましょうか。四十代、五十代のおとなになり、骨粗鬆症の存在に気がついて一生懸命運動し、栄養、ミネラルを摂取すると骨密度が上昇するのでしょうか。いや、そんなに簡単には上昇しないのです。では薬では? いやいや、これも残念ながら、劇的な効果をもたらさないことがあります。

骨密度は子どもの頃の運動で決まる

じつは、骨密度を生涯にわたって決定する要因となるのは、「子どもの頃にどれくらい走って跳び回ったか」なのです。

ジャンプをすると、跳ぶときと着地のときに、重力に抗する体重の負担がからだ中の骨に掛かります。この負担の積み重ねが刺激となり、女の子でいう初潮の年齢までのあいだに、骨を強くします。結局は子どもの頃にどれだけ“貯骨”となる刺激ができたか、それが重要なのです。これは、1964年の東京オリンピックの時期に行った若年スポーツ選手の縦断調査により、最近になってわかってきた事実のようです。

子どもの頃の運動が将来にどれだけ大切か、ちょっと衝撃的ですよね。

近年話題となる子どもの肥満についても、「運動習慣は、子どものうちだけでなく将来の肥満も予防する」といえます。運動習慣は当然カロリーを消費する習慣づけとなりますし、運動して筋肉が多くなれば基礎代謝が高くなるので、自然にカロリーを消費しやすいからだになるのです。

子どものときにしっかり運動することは、未来への有意義な投資になるといえるでしょう。