強制入院を実行できる法律の施行は2月1日に前倒し
日本政府は1月28日の閣議で、問題の新型肺炎を「指定感染症」に指定する政令を決定した。
指定感染症の対象は、国民の生命や健康に重大な影響を与える恐れがあるものだ。これまでにSARSのほか、鳥インフルエンザ(H5N1型、H7N9型)やMERSの4つが指定されている。指定感染症になると、次のことが可能になる。
・就業を制限できる
・患者の医療費を公費で負担する
日本政府は、WHOが23日、「国際的な公衆衛生上の緊急事態」の宣言を行わなかったため、指定を見送っていた。しかし中国政府が26日、感染力が強まっているとの見解を示したことから「感染の封じ込めには指定感染症の指定が必要だ」と判断したという。
日本政府は指定感染症とするだけでなく、「検疫感染症」にも指定する。指定されると、空港や港で入国者に感染が疑われた場合、国が検査や診察を受けるよう指示できるようになる。入国者が指示に従わなければ、罰則の対象となる。新型コロナウイルスを「指定感染症」や「検疫感染症」とする法律の施行は2月7日となる予定だったが、これは2月1日に前倒しになった。
日本国内で初めて「症状のない感染者」が確認された
さらに政府は、全日空のチャーター機を武漢に派遣することを決め、28日夜に第1便を飛ばした。武漢市のある湖北省全体では1月27日時点で、日本人560人の滞在が確認されており、その大半が帰国を希望している。
第1便では29日に206人が帰国したが、3人からウイルスが検出された。
厚生労働省によると、今回ウイルスが検出されたのは、発熱やのどの痛みの症状で入院した50歳代の男性と、症状はなく、政府が手配した千葉県勝浦市のホテルに滞在した40歳代の男性と50歳代の女性の計3人だ。不顕性感染者とみられる症状のない感染者が確認されたのは、日本国内で初めてだ。
各紙の社説はどう書いているか。
「中国・武漢で発生した新型肺炎の広がりが止まらない。中国国内の患者は約6千人にのぼり、死者は100人を超えた」
「日本でも、現地への渡航歴がない男性の感染が確認された。人から人への国内で初の二次感染だ。潜伏期間中にも伝播する可能性が指摘されており、事実ならばさらなる拡大が見込まれる。長い戦いになる覚悟をもって、着実に備えを固めたい」
こう書き出すのは1月30日付の朝日新聞の社説だ。見出しも「新型肺炎拡大 長期化に備える覚悟を」である。