最大のリスク回避は頭金をたくさん入れること

一方の元金均等方式だと、毎月必ず一定額の元本が減っていきます。ただしその分毎月の支払額が高くなってしまうため、頭金をきちんと入れてローンの額を減らさない限り、希望物件は買えなくなってしまいます。そこで仕方がなく支払額が一定の、元利均等方式で物件を購入する人たちが大半なのです。

値下がりをせず、むしろ買ったときより値段が上がる不動産もない訳ではありません。ただそれはほんの数%の物件。その物件を目利きして購入しない限り、一般的に新築マンションの値下がり率は高く、元利均等方式での購入なら、所有期間にもよりますが、ほぼ売却代金でのローン残高完済はできません。金利だって固定でない限り、上がってしまえばたちまち月々の支払額は上がり、家計を圧迫するでしょう。何かわずかなアクシデントですら、即刻路頭に迷うことにもなるのです。

もちろん何事もない人もいるでしょう。ただ人生には、ハプニングがつきもの。「あの時大変だったね」と笑える程度のものはいいのですが、不動産は額が大きいため、一度苦しくなると大きな負の財産になってしまいます。そう考えると、金利が低いとはいえ、頭金をたくさん入れるということは、最大のリスク回避になるでしょう。

持ち家でも住まいの悩みからは解放されない

太田垣章子『老後に住める家がない!』(ポプラ新書)

また外国人の投資家が日本の不動産を購入していることもあって、想定通りの「修繕積立金」が貯まっていない分譲マンションはたくさんあります。しかも大規模修繕のときの総会時、海外投資家から委任状が取得できなければ、決議の総会そのものも成り立たないことが予想されます。

決議ができないとなると、大規模修繕はできず、自身が住んでいるマンションが朽ち果てていくのを、じっとただ見ているしかできないということにもなりかねません。そうなってしまうとますます物件の価値は下がり、売りたいのに売れないという状況に陥ってしまいます。

要は持ち家だから、この先住まいに悩まされることはない、とは言い切れないということです。びくびくばかりしていられませんが、不測の事態も想定しつつシミュレーションしておくことが、逆に安心して生活していくことができる材料になるはずです。

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