配達員の報酬は最低保障はなく完全歩合制「時給286円」の人も
日本でも個人事業主である24時間営業のコンビニチェーンのオーナーの過酷な労働実態が度々報道されている。
また、ウーバーイーツで働く配達人らが2019年10月に処遇改善を求めて労働組合「ウーバーイーツユニオン」を結成している。
配達員の報酬には最低保障はなく、完全歩合制だ。1回の配達で、レストランからの受取料金265円+移動距離料金60円/km+配達先への受け渡し料金125円。ここからウーバーの手数料10%を差し引いた金額が基本料金だ。
これにプラスして配達エリアや時間帯で基本料金の1.1~2.0倍、さらに配達回数の多さに応じて一定額を上乗せするインセンティブが追加される。
トータルとしてどれくらいの稼ぎになっているかという統計的データはまだない。
例えば、東京・江東区在住の25歳の男性は自身のブログに「インセンティブをうまく使いこなすと時給換算で2000円か、ゆるーくだと時給換算900円。がっつり稼ごうと思ってやると、結構つらい&イライラするかも。おすすめしません」と書いている。
ツイッターに投稿された報酬画面キャプチャーを掲載している100人の報酬を分析した別のブログでは、平均時給が1414円。最低時給が286円、最高時給が3458円となっている。
1000円を下回っている人が22人。仕事のやり方によっては東京都の最低賃金(1013円)を下回ってしまうこともあるようだ。
実際に都内の道路を四角い荷物をかついで自転車で走行している配達人をよく見かけるようになった。競技用のロードバイクだけでなくママチャリで疾走する者もいる。
仕事の効率を上げるにはスピードを出すときもあるだろうし、危険と隣り合わせの仕事に思える。実際に事故も発生している。
2020年1月7日に開催されたウーバーイーツユニオンの記者会見では、事故でケガを負い、30日以上も働けなくなったという相談が何件か寄せられているという。ただし、事故の件数など実態についてはウーバーイーツ側が非開示なので労働組合として事故の実態調査に乗り出すことになった。
仮に就業中に事故に遭った場合、労働者であれば労災保険が適用され、1年6カ月の休業補償も受けられるが、個人事業主である配達員は自己責任となる。
ウーバーイーツは昨年10月から傷害補償制度を設け、配達員のケガも対象にした。ただし、医療費用の医療見舞金の上限が25万円、入院中の休業補償に当たる見舞金は30日を上限に1日7500円が支給される。それでも30日を超える疾病には対応されず、労災保険より見劣りする。