このケースでは年1300万円近くも節税できる

そして、従業員への福利厚生としても活用できます。2019年の年末、ネット上で「#忘年会スルー」という言葉が話題になりました。「会社の忘年会に自費で参加するべきという風潮はパワハラではないか」という考えが背景にあるようです。確かに、強制的な忘年会参加は、昨今の若者には好まれないでしょう。

しかし、経営者が費用を負担してあげれば、従業員満足度を上げるための施策になるかもしれません。楽しい忘年会を通じて、社内コミュニケーションが円滑になる、来年度も頑張ってもらえるよう鼓舞する、自社へのコミットメントを強めてもらうという狙いがあります。つまり、従業員に対する投資や慰労なのです。

さらに、節税効果も期待できます。損益計算書上、これらの経費は営業上必要な支出という側面だけではなく、支払う税金を抑制できるのです。

例えば、1000万円/月の売上に対して、約30%の法人税が課された場合、納税額は300万円/月です。一方で、経費として認められる費用360万円を売上から差し引けば、課税対象額は640万円/月となり、それに30%の税金が課されます。結果、納税額は192万円/月となります。

もちろん、架空計上や業務と無関係な支出は税務上否認されますが、上手にお金を使うことで108万円/月、年間を通じて1296万円も節税することができるのです。

なぜ前澤氏は「4人で500万円」の食事をごちそうしたか

サラリーマンと経営者のお金の使い方の比較を通じて、それぞれの特徴が見えてきます。サラリーマンは消費にお金を使い、片や経営者はお金を稼ぐためにお金を使っています。

ZOZO前社長の前澤友作氏は派手にお金を使うことで知られています。タレントの出川哲朗が2018年12月にテレビ番組『アッコにおまかせ!』(TBS系)に出演した際、「前澤氏から4人で500万円近くする食事をごちそうされた」と発言していました。また、同氏はバスキアの絵を123億円で落札し、森アーツセンターギャラリーで展示していました。

これらは浪費家のようにも思われる行動ですが、ツイッターでは「お金は使えば使うほど増える」とも語っています。

1回の食事で500万円使ったという話の真偽のほどは不明ですが、私はあながち嘘とも思いません。なぜなら、経営者の派手に見える支出の背景には、「経費」と「資産」という2種類の考え方があるからです。経費とは、売り上げを増やすために必要な支出であり、先述の交際費、会議費、福利厚生費や旅費交通費が当たります。また「資産」とは、会社の売り上げを生み出すための財産であり、設備や車の購入費用が当たります。

経営者の支出の大部分は、この「経費」と「資産」となるよう意識されており、これら投資になるもの(将来の収益に貢献するもの)は、高額でも惜しみません。逆に「経費」や「資産」にならない、単なる浪費は1円でも嫌がるものなのです。

【関連記事】
なぜ今どきのお金持ちはあえて家を買わないか
ファーストクラスの女性は何が一番違うか
同窓会で出世頭が負け組に深く頭を下げる理由
「おにぎり2個とジュース」が最悪ランチな理由
FPうなる完璧家計「家族4人で出費は月10万」