出世街道を突き進む人が「人生の勝利者」になるとは限らない。精神科医の和田秀樹氏は「どんなに出世した人も、組織を離れればただの人だ。一方、確固とした仕事のスキルを持つ人は、組織では出世に恵まれなかったとしても、定年後は幸せになれる可能性が高い」という——。

「桜を見る会」招待者名簿を巡る、官僚のバカ答弁

なぜ、本来「頭がいい」はずの官僚たちは見苦しい答弁を繰り返したのか。

昨年から問題になっている安倍首相主催の「桜を見る会」の招待者名簿に関して、以前、野党が名簿を資料請求した直後に名簿が処分されたことが明らかになり、その日時に処分された理由を、内閣府の官僚は「(内閣府の各部局の使用が重なって順番待ちとなり)シュレッダーが混んでいたからだ」と答弁した。

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野党がそのシュレッダーを視察したら40~50秒で1000枚を裁断できることが明らかになった。シュレッダーの順番が回ってきたのが、ちょうど資料請求直後だったという屁理屈である。

桜を見る会に関しては、そのほかにも、多くの詐欺被害者を出したジャパンライフの元会長が2015年に招待されていたとされる問題もあった。「60」という数字が首相・政府枠の招待者を示しているのは見え見えなのに、内閣府の官僚はそれを「招待者名簿はすでに廃棄しており、個別の番号が(誰の枠かは)定かではない」と繰り返すばかりだった。

こうした答弁の場面は、再三テレビで放映され、インターネットでもたたかれた。

このような首相や官邸をかばうような答弁をするのはなぜなのか。官邸から圧力がかかっている可能性もあるが、官僚本人が官邸を忖度そんたくして言い逃れしたり、書類処分をしたりすれば、役人として出世できると考えているからかもしれない。