※本稿は、宇田左近著『インディペンデント・シンキング』(KADOKAWA)を再編集したものです。

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同級生の中で「出世頭」になった人たち

中学校、高校などの同窓会を思い浮かべてほしい。社会人になり、久々に級友たちと会うと、世間一般で一流と言われる企業や、中央官庁などに就職したり、医師や弁護士などになったりと、同級生の中でも「出世頭」になった人がいるだろう。かつては大して仲の良い友だちではなかった人や、好きだったけれど想いが届かなかった異性に囲まれて、

「あの大企業で出世コースなんてすごいなあ」
「○○の社長になったんだって⁉」
「ビジネス誌に載っているのを見たよ」

などと言われ、もてはやされている。なかばヒーロー扱いされている状況に、本人たちは、まんざらでもない笑みを浮かべていたり、すましながらも内心満足感に浸っている。

会社の同窓会、同期会はもっとわかりやすい。入社後20年、30年もすると、だいたい先行きが見えてくる。そんな中で同期会が開かれることはまれかもしれない。まだ過去を振り返るには早すぎるというわけだ。しかし、60に近づいてくると、なんとなく集まりたくなる。

このような同窓会の参加者の半数はすでに子会社などに転出しており、そこで第2の人生頑張りますといった会話が入り乱れる。健康問題も話題の一つ、孫の話もちらほらだ。少数の本社現役組を囲んで、昔はいかに同レベルだったか、サラリーマン人生などちょっとした運によって左右されるのだというようなプライドだけを頼りに、今後の会社の課題や方向などに聞き耳を立てる。

この、本社現役生き残りセグメントは、同窓会ヒーローの候補者でもある。途中で退社して羽振りの良い同期がいると、「君は社外に出て正解だったね」、などと言うが、あくまで自分こそが成功者だという上から目線でのねぎらいだ。