出世のためなら平気で破棄・廃棄・改ざんをやる役人の共通点

2016年6月に疑惑報道が勃発した森友学園問題の際も、土地の安売りを実質上指揮して、文書の改ざんを命じたとされた財務省の佐川宣寿氏は、疑惑がクリアされないにもかかわらず、2017年7月に理財局長から第48代国税庁長官に栄転した(2018年3月退官)。

また2019年末、伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之氏に性被害を受けたことを認める民事裁判の判決があったが、この件は、2015年、東京地裁が逮捕状を発行したにもかかわらず、当時の警視庁刑事部長の中村格氏が、逮捕状執行直前に執行停止を決定した。結局、2016年7月に嫌疑不十分で不起訴となった。

その中村氏も警察庁長官官房長に就任し、警察庁長官の就任が確実視されている。

彼らにとっては、世間やマスコミ、あるいはネット上で非難されても、政府に都合が悪い資料の廃棄、改ざん、あるいは被害者の心情を無視した逮捕状の破棄をすることは出世のための戦略的選択肢だったのではないか。

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ただ、昔と異なりネット時代の現在は、このような事件の報道や記録は公開され続ける。佐川氏や中村氏などの「言動」は検索すれば、いつでもネットで読むことができ、その記録が消えることはない。

病院の見舞いでバレる「人望のある人ない人」

私が以前勤めていた高齢者専門の総合病院は都内の高級住宅地にあった。もともと社会的地位が高い人が認知症や寝たきりのような状態になった際に入院することが多かったのだが、そこにはある「法則」があった。

それは、高い社会的地位にあっても部下に慕われていなかった患者にはほとんど見舞いにはこないということだ。彼を引き上げていた上司も、すでに他界しているか要介護状態で、見舞いにはこない。

いっぽうで、社会的地位がそれほど高くなくても部下に愛されていた患者には見舞いが絶えない。見舞いされるほうはすでに引退し(一般的に80歳代以上)、部下も定年しているので、利害関係はない。人間として尊敬し、愛しているからこそ足を運んで見舞いにやってくるのだ。

そうした病棟の人間模様を見るにつけ、私は、出世と引き換えに人に嫌われて寂しい晩年を送ることは最終的に「幸せな人生」とはならないのではないかと深く考えさせられた。そして「人に嫌われてまで、出世を目指すことはやめよう」と心に決めた。