「罠」から逃れる知恵は世界のあらゆる人に眠っている
4番目として、実際の流血を伴う戦争は不可避なのでしょうか。答えは、不可避ではありません。繰り返して言います。避けられます。
ただし、もし米中の指導者がいつものような国政術に甘んじるならば、歴史を繰り返すことになります。そうすると、戦争が起こるかもしれません。第3次世界大戦すら起こるでしょう。しかし、戦争の結果がいかに悲惨かということを我々が認識し、そうした対立状態がいかに幾度となく戦争に行き着いたかを理解していれば、戦略者や政治指導者は歴史の常を乗り越えた先人の例に倣うことができるでしょう。
そして5番目。「トゥキディデスの罠」から逃れる方法はあるのか。私はそれを探ってきました。現時点では9つの潜在的な逃げ道を発見しましたが、どれもそれほど説得力はないので、皆さまにご紹介する気持ちにはなりません。ですが、1つ確信していることがあります。戦略的な知恵を独占する人はいないのです。
ワシントンでも、北京でも、マサチューセッツ州でも、ケンブリッジ大学でも、ハーバード大学でもありません。従って、ここにチャンスがあります。男女を問わず、また、日本人も、フランス人も、シンガポール人も、誰もが良いアイデアを提供することができます。それはグローバルな善に資するもので、全員が考える絶好のチャンスを手にしています。
将来はいろいろな可能性があります。国家間の戦争を回避する場合に理解しなければならないのは、本格的な戦争が発生すると、アメリカも消えてしまうし、中国も地図から消えてしまうことになるということです。従って、慎重に対応して、協力して危機を回避し、危機管理のための準備を行っていかなければなりません。
(構成=プレジデントオンライン編集部)