companyの本当の意味とは

小宮氏が一貫して主張するのは、忘年会のようなオフの場でなされるコミュニケーションこそが、社員間の仲間意識を醸成するということだ。

「同じ釜のメシを食ったり、酒を飲むことによって、仕事内容より重要な“仕事への意識”が共有されるのです。“会社”を意味する英語companyには“仲間”という意味もあります。comは一緒という意味で、panはパンを食べるという意味。つまり、ごはんを一緒に食べるという意味です。仲間とは、一緒にごはんを食べる関係のことを言うのです」

それでは若手社員に忘年会や社員旅行をスルーされないためには、具体的にどうすればいいのか。

「上述したオフィス内で時間を決めて開くもの以外に、世代別で席を決めて開くケースも有効でしょう。20代社員は20代社員だけ、役員は役員だけでテーブルを固めるのです。年配の社員と話したい若手社員だけが席を移動して話せばよい。そのように自然に交流したい人だけが“年上の説教”を聞けばよい。それくらいハードルを下げなければ若手社員は参加してくれない企業もあるかもしれません」

社員に「お得感」を感じてもらうのが経営のコツ

小宮氏によれば、若手社員の離職を防ぐために求められるのは「社員に損をさせたと思わせないこと」だ。

「おいしくない居酒屋で、自分がお金を払い、上司の説教を聞くのは、若手社員としては損した気分にしかならないでしょう? だから逆のことをすべきなのです。つまり、この会社にいて得をしたと思ってもらいましょう。

久兵衛ですしをごちそうしてもらえる、5年に1度は会社負担でタダでハワイに行ける。そんな会社ならば、得したと思ってもらえるでしょう? 私の顧客の中には社員旅行では社員1人ひとりに数万円をおこづかいとして渡すところもあります。これで家族にお土産でも買ってください、と。そんな会社にいる社員はメリットを感じてくれます」

忘年会スルーの最大の問題は、スルーされるほど魅力のない忘年会を開いてしまう企業側にあるのかもしれない。

(構成=鈴木俊之)
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