費用は成功報酬型で、平均約23万円

19年9月までのおよそ2年間で918件の相談を受け、うち正式な依頼となったのは178件、機器別に見るともっとも多かったのは116件のスマホだったといいます。100%解除できる保証はありませんが、蓄積された経験に基づいて解決の糸口を探る、といった方法で向き合ってくれます。

古田雄介『スマホの中身も「遺品」です デジタル相続入門』(中公新書ラクレ)

ただし、費用は成功報酬型で平均約23万円。決して安くはありませんし、必ず開けられるという保証もありません。実際、スマホの型番やOSのバージョンによっては糸口が見つからずに断念するケースも少なくないそうです。しかし、事件性とは無関係に故人のスマホと向き合ってくれる専門サービスが存在することは、頭の片隅に留めておいてもいいでしょう。

まとめれば、社会がもはやインフラとしてスマホを求めるようになった一方で、持ち主が亡くなった後のケアに関して、オフィシャルのサポートは未整備なままということです。スマホはとても便利な道具ですが、その便利さは「持ち主が健在な状態」という薄氷の上に乗っているだけなのかもしれません。

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