実際、Androidに関しては、2015年秋頃までは遠隔操作で端末のパスワードを変更する機能が実装されていました。故人のAndroid端末にかかったパスワードが分からなくても、持ち主のアカウント、グーグルアカウント、が分かれば、別の機器でインターネット上のサポートページにアクセスして当該端末のパスワードを変更し、中身に触れることができたのです。

しかしこの本の執筆時には、そのような手軽に使える秘技はもう存在しませんし、今後メーカーがこれに近い機能を復活させることを期待することも無理筋、と思っておいたほうがいいでしょう。

解除技術を持つ企業は存在するが…

iPhoneやAndroid端末のロックを解除する技術を持っている民間企業も存在することはします。先のセレブライト社の技術は複数国で実績がありますし、10年頃から日本でも導入されています。同社との関係は不明ながら、10年以降は刑事裁判などでスマホのロックを解除して確定的な証拠を特定した事例がしばしば報じられるようになっています。

ただし、これらの技術は過去に国の法執行機関にしか提供されておらず、国防や刑事事件に関わるような局面でなければ利用することはまず無理です。事件性のない故人のスマホを開くといった行為とはまったく無縁のもの、と認識しておいて間違いないと思います。

スマホのロック解除を検討してくれるデータ復旧会社も一部あります。

たとえば東京・銀座に本拠地を置くデジタルデータソリューションは17年9月から「デジタル遺品調査サービス」を提供しています。