文在寅政権は逆方向に進んでいる
輸出依存度の高い韓国経済は、世界的な貿易量減少の影響もありかなり厳しい状況を迎えている。トランプ大統領の保護主義的な政策や中国経済の減速などを受けて、ここから先、韓国が短期間で輸出を増やして景気持ち直しを目指すことは難しいだろう。
韓国の金融・財政政策にも限りがある。政策金利は過去最低の水準にある。利下げの余地・効果とも限定的だ。財政出動をさらに増やすと、韓国自身の信用力の低下=ソブリンリスクが高まることもあるだろう。
文政権が経済の安定と持続的な成長を目指すにあたって、構造改革の重要性は高まっている。既得権益層に経済的な利権が集中してきた韓国にとって、経済格差を是正し、将来への希望を高めるためにも、改革案をまとめ、実行する意義は大きいはずだ。
ただ、左派の政治家として存在感を示してきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、企業向けの規制緩和などを行い企業経営を支援するとは考えづらい。反対に、同氏は労働組合などの支持を維持するために、韓国経済の成長期待を下押しするような政策を進めてしまっているように見える。
安全保障に関しても、文政権の政策は目指されるべきものとは異なる方向に向かっていると考えられる。この状況が続けば、韓国では世論の分断が深刻化し、経済はさらなる低迷を迎える恐れがある。