スタッフから冴えない意見が出てきたとき、頭ごなしに否定するのはリーダーとしては二流だ。スポーツメンタルコーチの鈴木颯人氏は、「一流のリーダーは否定する前にそのアイデアのデメリットを聞く。そこを掘り下げることで、新しいアイデアが生まれる可能性があるからだ」と説く——。

※本稿は、鈴木颯人『最高のリーダーは「命令なし」で人を動かす』(KADOKAWA)を再編集したものです。

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ストレートに反対意見を伝えるのは要注意

会議で皆の意見がバラバラ。自分と相手の意見が正反対。そんなとき、ついストレートに「それには反対だ」「ダメですね」「賛成できません」といった言葉を伝えたくなりますが、リーダーが反対意見をストレートに伝えてしまうと、相手がショックを受けたり、発言するモチベーションを一気になくしたりしてしまうかもしれません。

「そんなことでまさか」と思ったリーダーほど、要注意です。悪気なくメンバーのモチベーションを下げている可能性が高いです。

そこでおすすめなのが、「遠回りクエスチョン」です。これは、相手の出したアイデアのメリットとデメリットを答えてもらうことで、自然な形で結論へと導く方法です。

先日、私の会社のスタッフのIさんと、セミナーの運営方法について打合せをしていました。その中で、「質問のタイミング」に議論が及びました。セミナーでは通常、来場者の質疑応答は最後に行われます。しかし、気づいたときにその場で質問できたほうが、疑問がその場で解消できて良いよね、という話になったのです。

するとIさんはすかさず、「セミナー中にグーグルフォームを使ってその場で質問をシェアしてもらうのはどうか」というアイデアを考えてくれました。これを聞いて、私の中では即座に「NO」の文字が浮かびました。セミナー中、参加者がスマートフォンを見ると、注意が散漫になりやすく、話に集中しづらくなってしまうからです。