妙な意見を出した本人に「デメリット」を聞く

しかしそれをそのまま伝えると、Iさんの意欲をぐだけでなく、チャンスの芽を摘むことにもなります。そこで私は「そのやり方だと、たしかにすぐ質問できるよね。じゃあ逆に、デメリットって何があるかな?」と聞いてみました。

するとIさんは、「セミナー中にスマホをいじることですかね……」と答えてくれました。私もその通りだと思ったので、続けて「そのデメリットを克服するにはどうしたらいいと思う?」と尋ねました。

彼の答えは「セミナーの休憩時間に入力してもらえばいいんじゃないですか?」。

「ナイスアイデア!」と思った私は、その方法を取り入れることにしたのです。

頭ごなしに否定すればリーダー自身が損をする

最初にIさんがアイデアを出してくれたタイミングで「NO」を突きつけていたら、どうなっていたでしょうか。おそらく、最終的なグッドアイデアにたどり着くことはなかったでしょう。それどころか、Iさんはせっかくのアイデアを否定され、やる気を失っていたかもしれません。

鈴木颯人『最高のリーダーは「命令なし」で人を動かす』(KADOKAWA)

メンバーにアイデアを求めると、一人では思いつかないようなアイデアが集まってきます。前例がなかったり、すぐ見えるデメリットがあったりると、つい「NO」と言いたくなる気持ちもよくわかります。しかし、そこで頭ごなしに否定するのはナンセンス。

集まったアイデアのメリットはもちろん、デメリットを埋める方法を一緒に考えることで、リーダーの中にある「思い込み」を手放すことができます。

結果として、自分では思いつかないようなアイデアを取り入れることができ、進めている仕事が今以上にやりやすくなるかもしれません。アイデアのデメリットを克服する方法を聞いてみて、その場で答えが出なければ後日の宿題にするのも良いでしょう。