一見遠回りな質問こそがアイデアを高める

大切なのは、お互いが目指すゴールに近い方法を見つけることです。頭ごなしに否定してしまっては、せっかくのアイデアの種も花開くことはできません。

反対意見が出たときほど、「そのメリットとデメリットは何だろう?」と冷静に尋ねること。一見遠回りに見える質問が、相手のアイデアを、より良いものに高めていきます。二流のリーダーは冴えない意見をすぐ否定しますが、一流のリーダーは否定する前にデメリットを聞くのです。

リーダーの思い込みがチームの生産性を下げる

リーダーとメンバーのコミュニケーションをスムーズにし、結果を出しやすくするためには、双方の「思い込みのフタを外す」こともとても大切です。そう聞くと、簡単ではないと感じる人もいるかもしれませんが、ご安心ください。

ふだんから意識して「問いかけ」を工夫することで、相手の思い込みのフタはもちろん、あなた自身の思い込みのフタも外すことができます。そして、フラットな視点から物事を考えられるようになります。

あるとき、私がコーチングを担当している水泳選手のFさんが、海外合宿で高地トレーニングに参加しました。出発前から気合十分だったため、帰って来たら、良いトレーニングができたと報告してくるだろうと思っていました。

そこで私はFさんが合宿から戻ってくると、「良いトレーニングができましたか?」と声をかけました。すると彼女は、「いや、それが……」と、予想外の暗い表情。どうもその合宿で、自分の目標とするレベルの練習ができなかったようなのです。

それを聞いて私は「しまった」と反省しました。違う問いかけをするべきだったのです。

なぜ、「良いトレーニングができましたか?」という問いかけがNGなのか、おわかりでしょうか。

それは、その問いかけ方だと、Fさんが「良いトレーニングができた前提」で話しかけられているように感じ、圧迫感を覚える可能性があるからです。圧迫感を覚えると、人は心を閉ざしてしまいがちです。あなた自身、思うような結果を得られなかったとき、「良い結果でしたか?」と聞かれるとどうでしょうか。きっと答えづらいと思います。