金言71:指示は具体的に出せ!

上司の「早く」と、部下の「早く」は違う

指示を出すならば具体的に。これが基本です。期限を伝えず、「なるべく早く」では、いつまでかかるかわかりません。「頑張れ」といくら言っても、何をどう頑張ればいいのかがはっきりしていなければ、相手も動きようがありません。

話し言葉はあいまいで、人によって解釈が違います。上司が部下に「早く仕事を終わらせろ」と指示しても、上司の「早く」が「1時間」で、部下の「早く」が「1日」としたら、部下は「早く仕事を終わらせた」つもりでも、上司は「指示通りに動かなかった」と考えます。

普通の会社は、社長→専務→部長→課長→主任→一般社員と話が降りていく途中で、少しずつ内容が変わって伝わり、食い違いが生まれます。この食い違いをなくすには、「誰が、何を、いつまでに、どのレベルで行うのか」といった指示を具体的に出す必要があります。

「いつまでに、いくらの利益を出したいから、このように頑張ってください」といった説明もなしに、ただ「頑張れ」「働け」「やれ」と指示しても、人は動きません。部下を動かすなら、具体的な数字を示して、「それを達成するために、いつまでに、何をしなければならないか」を明確に伝えることが欠かせません。

金言72:「できる目標」を与えて、やる気を引き出す

「できない」と感じることに、人は挑戦しない

多くの企業では、社員個々の目標を設定し、それに向かって行動することで個々の成長を促します。このとき、多くの社長は、「高い目標を設定すれば、それだけ成長する」と思っていますが、それは違います。

目標は、その人が「現在の力」でできるものがいいです。「できる目標」だから、やる気になって、チャレンジする。人間は、自分ができないとわかっていると、まったくやる気になれません。「月に行って帰ってこい」と言われても、「できっこない」と思うのが普通でしょう。だから、目標は「できる範囲」で設定する必要があります。

本人にとって難易度の高い仕事を頼まなければならないときもあります。そのときは、「できると思っているから依頼している」「チャンスを与えている」ことを伝えます。それに対して、「無理です」「やりたくありません」と言うのなら、私は別の社員にその仕事を与えます。

その結果、仕事を引き受けた社員の評価は上がり、チャンスを逸した社員は先を越されます。評価が上がらなければ、賞与の額も少なくなります。だから、「チャンスだ」と言われれば、「喜んで」と答えるしかない。そこで断れば、自ら出世の芽を摘むことになります。