金言69:「聞く耳を持たない人」には質問をせよ

人の言葉では変わらないが、自分の言葉なら変わる

私は、社員にも、経営サポート会員にも、さまざまなアドバイスをしています。そんな私にも、「相談をしたくない相手」「アドバイスをしたくない相手」がいます。それは、「聞く耳を持たない人」です。聞く耳を持たない人は、自分の非を認めないので、「失敗から学んで成長する」ことができません。成長意欲のない人にアドバイスするほど、私はお人好しではないし、暇でもありません。

それでも、そんな人を指導しなければならないときは、「あなたは、どうなりたいのですか?」と質問をします。「聞く耳を持たない相手」に「やれ」と言ってもやりません。だから、「どうなりたい?」「そのためにはどうすればいい?」「ですよね、ですよね」と聞いてあげて、最終的に向こうから「教えてください」「勉強させてください」と言わせるように仕向けます。

つまり、質問を何度も投げかけ、本人の口から状況と解決策を言わせるように誘導するわけです。そうすれば、こちらの指導を素直に聞き入れるようになります。

人は、他人から何か言われても、めったに変わることはありません。でも、自分が口にした言葉によって説得され、自分の言葉によって変わることはあります。

金言70:相手にとっての正解を提示せよ

人は基本的に「命令」が嫌い

いくら「頑張れ」と口酸っぱく言っても社員は動きません。「これをやって」と言えば、口では「はい」と返事をするが、やるとはかぎりません。「はい」は「やります」ではなく、「聞こえました」の意味だからです。頭でわかっていても、すぐにやらないのが普通の社員です。

人は、基本的に「命令」を嫌います。命令は、相手の意思や希望を無視して、一方的に要求を押し付ける。他人から押し付けられると、反発するのが人間の心理です。自分の意見を押し付ける人は、「自分=正しい」「相手(部下や社員)=間違い」と考えています。しかし、やり方や考え方が自分と違っても、相手が間違っているわけではない。人にはそれぞれ特性があって、考え方や行動のクセ、好き嫌い、得意・不得意は千差万別です。自分にとっての正解と、相手にとっての正解は違います。だから、自分の考えを押し付けてはいけない。

人を動かすには、相手の状況や特性を把握して伝え方を変え、相手にとっての正解を提示することです。脳科学に基づくプロファイリングで人の思考・行動の特性を把握する分析ツール「EG」(エマジェネティックス)は、相手にとっての正解を一目瞭然にします。EGを活用すると、上司の指示は部下が「動きたくなる」指示となり、仕事が早く確実に進みます。