相手が「客をいつまで待たせる気だ」などと言って急かしても、焦りは禁物。「おまえじゃ話にならない。上司を呼んでこい!」などと言われれば、むしろ渡りに船と考えましょう。「折り返しご連絡を差し上げますので、お名前やご住所を教えてください」と言えば、やましいところのあるクレーマーが退散することもあります。
クレームを、企業経営に有効活用
それでも態度が収まらず、「土下座しろ!」「ネットやSNSで(悪評を)さらしてやる!」などと脅し文句を言ったりするようなら「レッドゾーン」。特に金品や特別扱いを暗に要求し、即断を強要するようなら、悪質なクレーマーと判断していいでしょう。第3段階では、顧客対応ではなく、「リスクマネジメント」として対応します。か行で始まる「K言葉」を覚えておくといいでしょう。たとえば、「マスコミや役所にタレこんでやる!」と凄まれても、ただの脅しにすぎないので、「困りましたね。でも、お客様のお考えを尊重します」と応じましょう。「怖いですね」と答えるのも手。「脅迫と感じている」ことを相手に意思表示するのです。
とはいえ、気をつけたいのが、厳しいクレームをつけてくる顧客を、“クレーマー”と決め付けること。お客様は神様ではありませんが、お客様あっての企業であり、目の肥えた難しい人が大切なお客様なのです。実際には、企業側に非があるケースも少なくありません。
たとえば、最近の若い従業員は、家庭でのしつけがなっておらず、人手不足のために職場での研修も不十分なせいか、顧客とトラブルを起こすケースが多発しています。そこで、クレーム処理は若い担当者任せにせず、上司やベテランの従業員が情報共有して、チームで対応するようにしましょう。そうすれば、サービス向上のための重要な“資源”でもあるクレームを、企業経営に有効活用しやすくなるでしょう。