悪質なクレーマーにはどう対応すればいいのか。クレーム対応に詳しいエンゴシステム代表の援川聡さんは「私が究極のかわし術として教えているのは『困りましたね』『苦しいです』『怖いです』のK言葉。特に『困りましたね』はのらりくらりとかわすあいづちとしては、何でも使える便利な言葉だ」という――。

※本稿は、援川聡『職場の困った人対応マニュアル』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

職場で議論するビジネスマン
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仕事熱心だが周りを振り回してくるタイプの困った人

仕事に対して熱心で実績もあり、会社にとって必要な人であることは間違いないけれども、自分の仕事のペースを周りの社員にも強く求めたり、面倒な仕事や細かい作業は他の人に丸投げする。仕事の速さや量だけでなく「自分も頑張っているんだから、周りの人も頑張るべき」という考え方まで押しつける人がいます。

決め台詞は「自分も頑張っている」「会社のため」「あなたも成長できる」「一緒に頑張ろう」と、もっともらしいことを言って説得をしてくるのです。「確かに熱心な努力家であることは認めるし、言うことについてはわかるけど、こちらにだって事情があって、やることはやっているんだから、それ以上は求めないでほしい」と内心では思いつつ、振り回されてしまうのが現状でしょう。

困った仕事は受けずにかわし、急かされても自分のペースを守れる方法をお伝えします。

きちんと断ればクレーマーは寄ってこない

どんな押しつけ型でも、できない相手にはそもそも頼むということをしません。あなた自身にその能力があって、引き受けてくれるだろうと思っているから依頼をしているということを、まずは覚えておいてください。クレーマーが窓口に駆け込むのも「何か対応してくれる」と思っているからです。

「断れないのをわかってて押しつけるんだ」「本当は対応するなら誰でもいいんだ」と落ち込む必要はありません。逆に言えば、きちんと断りさえすれば、押しつけ型はターゲットを変えます。悪質クレーマーが「難癖つけてもムダだった」と他所の店舗へと移っていくのと同じです。「無理な要求には応えてもらえない」と知った上で、それでもまたクレームをつけるのは、信頼の証です。