厄介なクレーマーにはどう対応すればいいのか。クレーム対応に詳しいエンゴシステム代表の援川聡さんは「『ですから』や『だから』などのダ行の返答は避けたほうがいい。どれだけ丁寧でも、相手の怒りを増長させてしまう。おすすめは『さようでございますか』や『承知いたしました』などのサ行の返答だ」という――。

※本稿は、援川聡『職場の困った人対応マニュアル』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

拳を握るビジネスマン
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近年、増加してきている“グレーなクレーマー”

私は警察官から民間の大手スーパーマーケットに転職し、クレーム対応や危機管理に従事してきました。そこでわかったことは“時代によってクレーマーのタイプが変わってきた”ということです。

以前は、大声で怒鳴ったり、高圧的で脅しに近い態度をとって、慰謝料や品物を奪い取ろうとする、暴力的な、いかにも悪い人がほとんどでした。見た目も重い雰囲気をまとっているので、窓口に来ただけで「やっかいな相手が来た」と、わかりやすかったのです。

現在は一見、普通の顧客と思われる人が常識では考えられない理不尽な要求を突き付けてきたり、ギリギリ取り締まることのできない詐欺まがいの行為に走ったりします。つまり、“グレーなクレーマー”が増えてきているということです。嫌がらせやいじめに近いことをする、“カスタマーハラスメント”という言葉も、最近になって注目されてきました。

同様に会社の中でも、ハラスメント規制法(労働施策総合推進法)の施行や働き方改革により、頭ごなしに怒鳴る、無理な時間外労働を強要するなど、あからさまなハラスメント行為は注意されるようになってきました。ただ現場ではどうしたら良いか迷っているのが実情でしょう。

その中で、職場の人間関係にストレスを抱える人が減っているかというと、そうではありません。実際にはクレーマーと同様に“グレーな困った人”として、タイプが変わってきたのです。こちらも離れた場所にいるだけなら、ごく普通の人なので、判断することができずに、「入社して初めてわかった」「同じ部署になるまで、そんな人だとは思わなかった」などと、一緒に働くまでは気づけないケースがよくあります。