相手の話を受け入れつつ、できることとできないことを明確にするというのは、クレーマー対応においてよくやる手法です。理不尽な攻撃を押し返すのではなく、のらりくらりとかわしたあとに「しかしながら私共はこうです。一生懸命検査しても、検査機関に出して結果が出るのは1週間後になってしまいます」などと説明をして納得をしていただくほかはありません。

“K言葉”を使った究極のかわし術

クレーム対応をする際に、究極のかわし術として教えているのは「困りましたね」「苦しいです」「怖いです」のK言葉です。特に「困りましたね」はのらりくらりとかわすあいづちとしては、何でも使える便利な言葉です。

援川聡『職場の困った人対応マニュアル』(WAVE出版)
援川聡『職場の困った人対応マニュアル』(WAVE出版)

気まずい場合や話が長期化してきたときには「大変心苦しい思いです」と、どうしても受けられないことを示し、相手からおどされるようなことがあれば正直に「怖いです」と、それぞれのシチュエーションに合わせて、使い分けましょう。このようなかわし言葉をいくつも持っていることで、仕事を引き受けず、相手に諦めてもらうことができます。

もし断ったあとに、罪悪感や申し訳なさがあるのであれば、自分の仕事が終わって余裕ができたあとに「こちらの仕事が一段落ついたのですが、今からでもお手伝いできることはありますか」とフォローを入れるといいでしょう。「断ったのは忙しかったからで、あなたとの人間関係を壊したいからではない」というメッセージにもなります。

相手が不機嫌そうに「もういいよ」となったら、「私も忙しいので必ずしも受けられるわけではないのですが、何か困ったことがあればまた相談してください」と伝えましょう。これでもまだ、不機嫌でいるようなら、わざと不機嫌な態度をとって、あなたを困らせようとする“グレーな攻撃型”も兼ねている場合があります。

断ったことではなく、忙しくしていたことを謝ったほうがいい

こういうときに効果的なのが、“いつも不機嫌な相手には気づかないふり”です。「断ってしまって申し訳ない」「気まずい」といつまでも悩むくらいなら、たとえ翌日以降になってしまっても「先日は忙しくてごめんなさい。今からでも何かありますか?」と聞いてしまったほうが、スッキリします。

謝るときのポイントは「断ったこと」よりも「忙しくしていたこと」を謝りましょう。断ることは悪いことではないので、謝り方にもそういう意識を持つと良いです。

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