一旦、相手の話を受け止めてからこちらの都合を伝える

しつこい悪質クレーマーかもしれませんが、実はホワイトなクレーマーということもあるのです。自分の仕事も手一杯で、無理難題を言われたときは、断るのは当たり前のことと思って断ってみましょう。断るのが苦手という人も一定数います。でも、お互いに頼り合えるし、断り合えるというのが、良い人間関係といえるのではないでしょうか。

断って途切れてしまう関係なら、それまでのこと。断ることに対して、もっと気軽になってほしいと思います。とはいえ、押しつけ型は相手が受けるまで説得にかかる場合も多いです。そこで、断り方を身につけましょう。

「私も頑張っているんだから、あなたもやってよ」「こういう理由で急ぎの案件なんだって」と説明してくる相手に対して「こっちにだって仕事がある」「今はムリです」と伝えても、言い合いがヒートアップするばかりです。一旦、相手の話を受けるようにしましょう。

議論するビジネスマン
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「○○さんも頑張っているんですね」「こういう理由があったんですね」と伝えた上で、「私も今、別のこんな仕事があって手一杯なんですよ」と自分のやらなければいけない仕事を話します。「それよりも、優先してやってよ」と言われたら、「私のこの仕事よりも、こっちの仕事を先にやるということですか」と受けて「私の仕事も△△さんから頼まれた仕事ですし……」「私の仕事もいつまでにやるという期限もあって……」と期限のことを話します。

「やってくれないと困る」と言われたら「やらないと困るんですよね。そう言われている私も困ってしまって」と、相手の言われたことを、そのまま返しながら、自分の仕事のことを話します。もし現時点で対応できる時期の見込みが立てられるなら、「○時頃なら対応可能なのですが」「明日でも良ければ」と打診をして、受けられるなら受けてもいいと思います。

相手が黙り込んだら、こちらも黙り込んでしまったほうがいい

しつこく説得してくる相手には、このように、相手の話をくりかえしながら、時間をかけてうやむやにするという“復唱のテクニック”があります。そのときに相手が黙ってしまうようであれば、あなたも「さて、どうしたものか」という顔で黙ってしまいましょう。

こうなると相手がじれて「じゃあいいよ」と引くか、「いいからよろしく」と押しつけてくるかのどちらかです。実際には受けてはいないのですから、「あれどうなった?」と聞かれても、「あの場で『困りましたね』とお伝えして中断したままでしたよね」と確認をしてもいいですし、すぐに進められないことを伝えたほうがいいのであれば、メールで、「お伝えしたように別の仕事がありますので、他の方にお願いをしてください。もしくは、終わってから取り掛かります」と送りましょう。