石材店が儲かる「指定制度」とは?

墓の値段をUPする石材店儲けの仕組み
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墓の値段をUPする石材店儲けの仕組み

墓の値段はとかく不透明で、一般人にはわかりづらいものだ。墓石の種類やその値段などに詳しい人などまずいない。さらに、霊園や寺院が指定した石材店からしか購入できない「指定石材店制度」の存在が不透明さを増幅している。商慣習にすぎないのだが、大半の霊園がこのやり方を採っているから競争原理が働かない。石材店にとって、こんなにうまい話はない。

昨今、急ピッチで開発が進んだ民間霊園が供給過剰となり、行政が新たな霊園開発を認めない事態にまで発展した。過当競争時代に突入し、価格はかなり下げているという。それでも石材店が儲かるというこの仕組みについて、まず一般的な墓の値段から見ていこう。

墓の値段は、墓石・工事費用、永代使用料、管理費の3つで構成される。永代使用料とは、墓用の土地を使用する権利を指す。売買などはできず、墓地を返すときにはお金は戻ってこない。首都圏の民間霊園で、0.8平方メートルの土地に一般的な墓を建てたとき、墓石・工事費用は石の種類にもよるが120万~200万円が相場だ。

さらに永代使用料150万円、年間1万~1万5000円の管理費が追加され、トータルで271万~351.5万円くらいが目安となる。高いか安いかは人それぞれの懐具合によるが、販売する石材店側に立って利益構造を見れば、その姿は大きく違ってくる。

首都圏の複数の石材店関係者の話を総合すると、原材料費としての墓石の原価は、販売価格のわずか10.15%程度という。ここに霊園開発にかかった費用が上乗せされ、値段がつり上げられていく。

またこの費用の中には、寺院など宗教法人への手数料が含まれている。普通、霊園開発は開発業者と石材店が主体となって執り行われるが、霊園の運営母体は非営利事業者でなければならないから、開発業者や石材店は母体になりえない。そこで、手数料を払って寺院などに名義を貸してもらうのだ。

驚いたことに、この原材料費や開発費を差し引いても、なお40~50%が利益となる勘定だ。それなりに条件のよい霊園ならば、この指定石材店制度の中でかなりの利益を挙げているのが現状だろう。この仕組みにより、購入者は開発に要した値段を上乗せされ、多額の利益まで加えられた高い墓を購入させられているわけだ。

では、可能な限り費用を抑えるにはどうすればよいだろうか。複数の霊園から“アイミツ”をとるのも手だろう。

だが、ここでも注意が必要だ。購入者の無知につけ込んで、安い墓石を高く販売する石材店が、中にはある。

現在、流通している墓石の8割が中国製の石で、決して品質が悪いわけではないが、加工のための人件費が低いので値段は安い。しかし、そ知らぬふりで高く売りつける石材店も案外多い。高級な墓石のケースでは、産地証明書を見せてもらうのも手だ。石材店に保証書を求めることも大切。優良な石材店ならば、10年程度の長期保証書を添えてくるもの。もし拒絶されたら、別の霊園に代えたほうがよさそうだ。

墓・霊園にもいくつかのジャンルがある。特定の宗派の檀家であれば、昔からの寺院墓地。出費を控えたいなら、競争率こそ高いが、自治体が運営している公営墓地がよい。墓の姿が変わり始めている。費用を抑えたい、継承者がいないなど理由は様々だが、慣習や形式にとらわれる意識が薄らいでいることは確かなようだ。

※すべて雑誌掲載当時